ミラノ・リナーテ空港は、もうひとつの玄関口であるマルペンサ空港と比べると圧倒的に市内に近く、慣れていない旅行者ほどその便利さに驚く空港です。ヨーロッパ内の乗り継ぎルートでミラノへ向かう場合、気がつけばリナーテ着になっていた、という経験をする人も少なくありません。この記事では、リナーテ空港の基本的な特徴から、ターミナル内の施設、市内への複数のアクセス方法、注意しておきたいポイントまでをひとつにまとめています。
空港コードはLIN。正式名称は「エンリコ・フォルラニーニ国際空港」といい、ミラノ出身の航空技術のパイオニアに由来します。ターミナルはひとつで、規模はコンパクトながら必要なサービスがそろっています。空港に到着してから市内中心部まで最短12分という近さは、マルペンサ空港とは別格の立地です。
ミラノ旅行を計画するうえで、どちらの空港を使うかによって出発後の動き方がまったく変わります。日本から直行便があるのはマルペンサ空港ですが、ヨーロッパ経由で乗り継ぐルートではリナーテ空港に発着するケースが多くあります。予約後に到着空港を改めて確認しておくと安心です。
ミラノ リナーテ空港の基本情報と位置づけ
リナーテ空港がミラノのどんな空港なのか、まず全体像を整理します。マルペンサ空港との違いや規模感を把握しておくと、到着後の判断がスムーズになります。
ミラノ3空港のうち市内に最も近い空港
ミラノには3つの空港があります。市外北西方向に位置するマルペンサ空港(MXP)、市街から東へ約8km圏内にあるリナーテ空港(LIN)、そして北東方向のベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港(BGY)です。この3つのなかで市内中心部からの距離が最も短いのがリナーテです。
東京に例えるなら、マルペンサ空港が成田空港、リナーテ空港が羽田空港に近いイメージです。ビジネス客や国内線を中心に利用されており、フライト後すぐにミラノ中心部へ移動できる利便性が特長です。旅客数はマルペンサよりも少なく、空港全体がコンパクトにまとまっています。
就航路線の特徴と日本からのルート
リナーテ空港には、エールフランス航空・ルフトハンザドイツ航空・ITAエアウェイズ・スカンジナビア航空など、ヨーロッパを中心とした航空会社が乗り入れています。イタリア国内線も数多く発着しており、ローマ(フィウミチーノ空港)行きが国内線最大の路線です。
日本からリナーテ空港への直行便はありません。日本から向かう場合は、ローマ・フィウミチーノ空港またはマルペンサ空港、あるいはパリ・フランクフルト・アムステルダムなどヨーロッパの主要ハブ空港で乗り継ぐルートになります。航空券を購入する際は、到着空港がLINかMXPかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
ターミナルの規模とフロア構成
リナーテ空港のターミナルはひとつです。地上階(日本式1階)が到着階、1F(日本式2階)が出発階という構成です。到着ゲートは1か所のみのため、到着後に迷う心配はほとんどありません。
出発階にはチェックインカウンターが1番から9番まで並び、両脇にバール(カフェ)があります。ITA(旧アリタリア)が1番カウンターを使用しています。搭乗ゲートへの入り口はひとつで、保安検査を抜けた先に免税店・レストラン・Eatalyが並ぶエリアがあります。
空港コード:LIN
正式名称:エンリコ・フォルラニーニ国際空港
ミラノ中心部からの距離:東へ約8km
ターミナル数:1(到着階・出発階の2フロア構成)
公式サイト:www.milanolinate-airport.com
- ミラノには3つの空港があり、リナーテは市内に最も近い位置にある
- ヨーロッパ内の短距離国際線・国内線が中心で、大型機の長距離便は乗り入れていない
- 日本からの直行便はなく、ヨーロッパ経由の乗り継ぎになる
- ターミナルは1つのみ。コンパクトで到着後に迷いにくい構造
ターミナル内の施設と使い方
到着してすぐ何がどこにあるかを把握しておくと、空港での時間を効率よく使えます。到着フロアにある各施設の場所と注意点を整理します。
到着フロアにある主要サービス
到着フロアには両替所・郵便局・荷物預かり所・レンタカーカウンターが設置されています。到着ゲートを出て正面方向に進むと、順にこれらのサービスが並んでいます。
荷物預かり所は「Milan Bag IT」が運営しており、営業時間は7:00〜20:00です。料金は30kgまでが1日8ユーロ、それ以上は1日10ユーロとなっています(最新情報はリナーテ空港公式サイトの「Services」ページでご確認ください)。両替所はありますが、イタリア国内での両替は手数料が高くなる傾向があるため、現金は日本国内で準備しておくとよいでしょう。
免税店・レストラン・ショップ
保安検査を通過した後の出発エリアには、免税店・レストラン・Eatalyが並んでいます。免税店ではコスメ・香水・サングラス・イタリア食材・菓子類などが購入できます。Eatalyはイタリア食材とカフェスペースを備えており、搭乗前の時間をゆっくり過ごせます。
Rosso Pomodoroはイタリア全土に展開するピッツェリアチェーンで、ミラノ最後の食事場所として利用者が多いスポットです。ピーク時は混雑するうえ搭乗口から距離があるため、時間に余裕をもって早めに立ち寄るとよいでしょう。
タックスフリー(免税手続き)の注意点
タックスフリーの申請は、EUを出国する最後の国で行うのが原則です。リナーテ空港はEU圏内にあるため、リナーテからEU圏外(日本など)へ直接出国する場合は、出発ゲート手前の「DOGANA(税関)」で税関スタンプを取得できます。
ただし、リナーテから乗り継いでヨーロッパ内の別の空港でEUを出る場合は、最終出国空港での申請になります。リナーテ到着時点ではなく、最終出国地で手続きが必要な点を事前に把握しておきましょう。
EUを出る最終空港で申請する
リナーテ→日本(直接)の場合:リナーテ空港のDOGANAで手続き可能
リナーテ→EU内乗り継ぎ→日本の場合:EU最終出国空港で手続きする
- 到着フロアに両替所・郵便局・荷物預かりがある
- 荷物預かりは1日8〜10ユーロ(30kg前後の重量区分あり)
- 免税手続きはEU出国の最終空港で行うのが基本
- 保安検査後エリアにEataly・Rosso Pomodoroなどがある
ミラノ市内へのアクセス方法を比較する

リナーテ空港からミラノ市内へは、地下鉄・シャトルバス・路線バス・タクシー・配車サービスの5つの手段があります。料金と所要時間、荷物量や時間帯を踏まえて選ぶとよいでしょう。
地下鉄M4線 – もっとも速く安いアクセス
ミラノ市交通局(ATM)が運営するミラノ地下鉄4番線(M4・青ライン)がリナーテ空港駅まで乗り入れています。リナーテ空港駅からミラノ中心部のサン・バビラ駅(SAN BABILA)まで乗り換えなしで約12分です。サン・バビラ駅ではM1(赤ライン)への乗り換えが可能で、ドゥオーモ方面へすぐに移動できます。
料金は片道2.20ユーロ。乗車券は空港内の自動券売機で購入でき、クレジットカードのタッチ決済でも改札を通過できます。90分以内であれば乗り継ぎ可能です。運行時間はおおむね6:00〜翌0:00頃ですが、最新ダイヤはATM公式サイト(atm.it)でご確認ください。地下鉄入り口は到着フロアの奥側にあります。
シャトルバス – 中央駅直結で荷物が多い場合に便利
リナーテ空港とミラノ中央駅(Centrale)を結ぶシャトルバスが複数社から運行されています。6番バス乗り場から乗車し、ダテオ広場経由でミラノ中央駅まで約25分です。
主要路線の料金は大人片道5ユーロ、往復9ユーロ、12歳以下は片道2.5ユーロです。運行本数は1時間に1本程度のため、到着時刻と時刻表を事前に照合しておくと安心です。チケットは車内で運転手から直接購入できるほか、各社公式サイトでの事前購入も可能です。最新の時刻表はAutostradale(autostradale.it)の公式サイトでご確認ください。
路線バス73番 – 料金を抑えたい場合の選択肢
ATMが運営する路線バス73番は、リナーテ空港からドゥオーモ駅(DUOMO・地下鉄M1/M3)まで結ぶ一般路線バスです。料金は市内共通の2.00ユーロで、90分以内は乗り継ぎ有効です。地元の人も日常的に利用しており、所要時間は約45分です。
始発は早朝5:30頃から、最終は深夜1:06頃まで運行しているため、早朝到着・深夜到着の場合でも利用できます。スーツケースが多い場合や初めての利用には多少不便ですが、料金を抑えたい場合の有力な選択肢です。停留所情報はATM公式サイト(atm.it)のルート検索で確認できます。
タクシー・配車サービス – 直接ホテルへ移動したい場合
タクシーは到着ゲートを出てすぐ目の前のタクシー乗り場から乗車できます。市内中心部まで約20〜30分、料金は約20〜30ユーロが目安です。深夜・早朝・休祝日・大型荷物は割増料金が適用されます。渋滞の多い朝夕は時間に余裕をもって計画するとよいでしょう。
到着ロビー内でタクシーへの乗車を勧められることがありますが、料金が割高になるケースがあります。必ず外に出て正規のタクシー乗り場から乗車してください。UberやBoltなどの配車アプリはミラノでも利用できます。Uberの場合、出発階4番出口付近が乗車ポイントの目安です。言語の不安なく日本語アプリで手配できる点が利点です。
| 手段 | 料金(目安) | 所要時間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 地下鉄M4 | 2.20ユーロ | 約12分 | 最安・最速。サン・バビラでM1乗り換え可 |
| シャトルバス | 片道5ユーロ | 約25分 | 中央駅直結。荷物が多い場合に便利 |
| 路線バス73番 | 2.00ユーロ | 約45分 | ドゥオーモまで直結。早朝・深夜も運行 |
| タクシー | 20〜30ユーロ | 約20〜30分 | ホテル前まで直行。渋滞に注意 |
| 配車サービス | 30〜80ユーロ程度 | 約30分 | アプリで手配。日本語対応可 |
- 地下鉄M4は最速・最安の選択肢。サン・バビラ駅でM1に乗り換えできる
- シャトルバスは中央駅直結。1時間に1本程度のため時刻表確認が必要
- タクシーは正規乗り場を必ず使う。車内での客引きには乗らない
- 各交通手段の料金・時刻は変動するため、出発前に公式サイトで確認する
チェックイン・出発前に知っておきたいこと
リナーテ空港はコンパクトな空港ですが、日本の空港と異なる慣習もあります。出発当日に慌てないよう、チェックインと保安検査の流れを整理します。
チェックインカウンターとセルフチェックイン
出発フロアにはチェックインカウンターが1〜9番まであります。航空会社によって担当カウンターが異なります。ITA(旧アリタリア航空)は1番カウンター、その他の航空会社は各カウンター番号が案内板に表示されています。
多くの航空会社でウェブチェックインや自動チェックイン機が利用できます。預け荷物がない場合はカウンターに並ばず直接保安検査へ進めます。利用する航空会社のチェックイン締め切り時刻は各社公式サイトで事前に確認しておくと安心です。
保安検査と出発ゲートまでの流れ
搭乗ゲートへの入り口はチェックインカウンター4〜5番の間に1か所あります。保安検査を通過した後、免税店・Eataly・Rosso Pomodoroのエリアを経由して各ゲートへ向かいます。ゲートから搭乗口まで距離がある場合もあるため、搭乗開始時刻の30〜40分前には保安検査を通過しておくとよいでしょう。
EU圏内のフライトでは、搭乗前のパスポートチェックが省略されることがあります。一方でEU圏外(日本など)への直接フライトの場合は、出国審査が別途入ります。日本から乗り継ぎでリナーテを経由してEU圏外へ向かう場合は、最終出国空港での手続きになります。
ラウンジと事前に準備しておくべきこと
リナーテ空港にはクラブSEAラウンジがあります。プライオリティパス利用が可能で、飲み物・アルコール・パン・サンドイッチが提供されています。ヨーロッパ内の短距離路線向けのラウンジという性格で、ビジネス客の利用が中心です。
空港内のWi-Fiは無料で利用できます。出発前に電源確保が必要な場合は、バールや免税店エリアのベンチ付近を確認するとよいでしょう。空港内両替所は利用できますが、手数料の関係から少額にとどめ、大きな金額は日本国内で準備する方が経済的です。
出発2時間前:空港到着・チェックイン
出発90分前:保安検査通過
出発60分前:ショッピング・食事
出発30〜40分前:搭乗ゲートへ移動
- チェックインカウンターは1〜9番。航空会社ごとに番号が割り振られている
- 搭乗ゲート入り口はひとつ。保安検査は出発90分前には通過しておくと安心
- プライオリティパス対応のクラブSEAラウンジがある
- 両替所はあるが手数料が高め。大きな金額の準備は日本国内で行う
マルペンサ空港との違いとリナーテを選ぶ判断基準
リナーテとマルペンサのどちらを使うかは、フライトの発着地によって決まる場合がほとんどです。ただし乗り継ぎ方法を自分で選べる場合もあるため、両空港の違いを整理しておきましょう。
場所・規模・就航路線の違い
マルペンサ空港はミラノ市外の北西方向に位置し、市内まで50km以上離れています。日本からの直行便(羽田)が就航しており、長距離国際線の拠点です。ターミナルは2つあり、施設規模も大きく、ブランドショップや免税店が充実しています。
リナーテ空港は市内中心部から約8kmと非常に近く、地下鉄で12分という立地です。ヨーロッパ内の短距離路線・国内線が中心で、滑走路が短いため大型機の長距離便は乗り入れていません。施設はマルペンサより小規模ですが、免税店・レストラン・ラウンジはひととおり備えています。
リナーテを選ぶメリットとデメリット
リナーテのメリットは、なんといっても市内への移動時間が短いことです。地下鉄12分、タクシーで約20〜30分という立地は、日程が詰まっている場合や早朝・深夜のフライトで特に有利です。空港規模が小さいため、チェックイン・保安検査・到着後の動線がシンプルで迷いにくいこともポイントです。
一方でデメリットもあります。日本から直行便がないため、必ずヨーロッパでの乗り継ぎが必要です。また大型機や長距離路線に対応していないため、マルペンサで乗り継ぐルートの方が便数・選択肢が多くなる場合もあります。
2空港間を移動する必要がある場合
マルペンサ空港とリナーテ空港の間を移動しなければならないケースもあります(例:マルペンサ着・リナーテ発、またはその逆)。両空港間はシャトルバスで結ばれており、所要時間は渋滞にもよりますが約75〜90分程度とされています。
乗り継ぎ時間が短い場合は余裕がなくなるため、できる限り同一空港で完結するルートを選ぶのが基本です。やむを得ず2空港を使う旅程になった場合は、バス所要時間に加え、空港内の移動時間も含めて計算するとよいでしょう。最新の運行情報はAutostradale公式サイトでご確認ください。
| 項目 | リナーテ空港(LIN) | マルペンサ空港(MXP) |
|---|---|---|
| 市内からの距離 | 約8km(地下鉄約12分) | 約50km(電車・バス約50〜90分) |
| ターミナル数 | 1 | 2 |
| 日本からの直行便 | なし | あり(羽田発) |
| 主な路線 | ヨーロッパ内・国内線 | 長距離国際線・ヨーロッパ内 |
| 施設規模 | コンパクト | 大型(免税店・ショップ充実) |
- マルペンサは日本からの直行便あり。リナーテはヨーロッパ乗り継ぎが基本
- リナーテはコンパクトで市内アクセスが速い。初めての旅行者でも迷いにくい
- 2空港間の移動は約75〜90分。乗り継ぎ時間に余裕が必要
- どちらを使うかはフライトプランによって決まることが多い
まとめ
ミラノ・リナーテ空港は、ミラノ中心部から約8kmに位置するコンパクトな国際空港で、ヨーロッパ経由のルートでは多くの旅行者が利用する空港です。
市内へのアクセスで最もシンプルなのは地下鉄M4線で、片道2.20ユーロで約12分でサン・バビラ駅まで到達できます。荷物が多い場合や宿泊先が中央駅周辺であればシャトルバス(片道5ユーロ)、ホテルへ直行したいならタクシーや配車サービスが選択肢になります。自分の旅程・荷物量・到着時間に合わせて選ぶとよいでしょう。
ミラノを起点にヨーロッパを巡る旅では、リナーテ空港を上手に活用することでスムーズな移動が実現します。出発前に到着空港の確認・アクセス方法の下調べを済ませ、ミラノでの時間を最大限に楽しんでください。

