イタリア語 魚の名前と読み方|メニューで迷わない基本用語集

イタリアの魚を表すイメージ画像 食材・調味料・用語辞典

イタリア料理のメニューを開いたとき、聞き慣れない魚の名前が並んで戸惑った経験を持つ人は少なくありません。イタリア語の魚介類名は、日本語の「〇〇エビ」のような体系的な命名ではなく、種類ごとにまったく異なる単語が使われるため、「gambero(エビ)」を覚えていても伊勢エビの「aragosta」には気づけない、というケースが起きやすい言語です。

この記事では、イタリア語で「魚」を指す基本単語から始まり、マグロ・タラ・スズキといった魚類、イカ・タコなどの頭足類、エビ・貝といった甲殻類・貝類まで、レストランや市場でよく出会う魚介類のイタリア語名を体系的に整理します。発音のカタカナ表記と日本語名を対照させているため、旅行・料理・語学学習のいずれの目的にも活用できます。

単語の背景にある意味や地域差にも触れながら、知識として記憶に残りやすい形でまとめています。イタリア料理や旅行の準備に、ぜひ参考にしてください。

イタリア語で「魚」を表す基本単語

イタリア語の魚介類語彙を理解するうえで、まず押さえたいのが「pesce」と「frutti di mare」という2つの基本単語です。この2語の使い分けを知っておくと、メニューの構造が一気に読みやすくなります。

pesce(ペッシェ):魚の総称

イタリア語で魚を意味する単語は「pesce(ペッシェ)」です。単数形がpesce、複数形はpesciとなります。日本語では「1匹の魚」「たくさんの魚」と使い分けますが、イタリア語でも同様に単複が変化します。

「生魚」は「pesce crudo(ペッシェ・クルード)」、「火を通した魚」は「pesce cotto(ペッシェ・コット)」と表現します。メニューで「pesce al forno」とあればオーブン焼きの魚料理、「pesce spada」はメカジキという具合に、「pesce」が複合語の一部として使われることも多いです。

frutti di mare(フルッティ・ディ・マーレ):海の幸・魚介類

「frutti di mare」は直訳すると「海のフルーツ」で、日本語では「魚介類」や「海の幸」にあたります。厳密には、魚(pesce)ではなく貝・エビ・イカ・タコなどの無脊椎動物を指す言葉として使われます。

ボンゴレ(アサリ)パスタの正式名称「spaghetti alle vongole」や、ペスカトーレ(漁師風)のパスタに入るような食材がこのカテゴリーです。イタリア語のイタリア食品規格でも、frutti di mareはペッシェ(魚類)とは区別されて扱われます。

pescheria(ペスケリア):魚屋

「pescheria(ペスケリア)」は魚屋や魚市場のことです。イタリアの市場やスーパーでこの表示を見かけたら、鮮魚コーナーを指しています。語源はpesceで、魚を扱う場所という意味です。旅先の市場でも使える実用的な単語のひとつです。

【まず覚える3語】
pesce(ペッシェ)=魚
frutti di mare(フルッティ・ディ・マーレ)=魚介類・海の幸
pescheria(ペスケリア)=魚屋・鮮魚売り場
    >「pesce」は魚類の総称。複数形は「pesci」>「frutti di mare」は貝・エビ・イカ・タコなど無脊椎動物の総称>生魚はcrudo(クルード)、加熱済みはcotto(コット)を組み合わせる>魚屋はpescheria。市場や旅先で案内板として役立つ

よく使われる魚類のイタリア語名

イタリア料理で登場頻度の高い魚類を、日本語名・イタリア語名・カタカナ読みの3点セットで整理します。レストランのメニューや市場の値札でそのまま照合できるよう、種類ごとの特徴も合わせて示します。

マグロ・メカジキ・サーモン

マグロは「tonno(トンノ)」と言います。ツナ缶の「ツナ」はこのtonnoが語源で、日本でもなじみのある単語です。イタリアではマグロを生食することは少なく、ソテーやグリル、オーブン焼きで提供されることが一般的です。

メカジキは「pesce spada(ペッシェ・スパーダ)」で、イタリア語で「剣の魚」という意味です。spadaは「剣」を指し、剣のように長い吻(口先)の形状が語源になっています。シチリアなど南イタリアではトマトやオリーブと煮込む料理が定番です。

サーモンは「salmone(サルモーネ)」で、日本語の「サーモン」とも語感が近く覚えやすい単語です。イタリアでもサーモンは人気が高く、切り身の形状によって「filetto(フィレット:半身の縦切り)」と「trancio(トランチョ:輪切り)」で販売方法が異なります。

タラ・イワシ・サバ

タラには2種類の呼び方があります。塩漬け・乾燥させた干しだらは「baccalà(バッカラ)」、塩漬けしていない生のタラは「merluzzo(メルルツォ)」です。baccalàは調理前に24〜36時間ほど水に浸けて塩抜きが必要で、ベネチアやローマなど各地に伝統的な調理法があります。

イワシは「sarda(サルダ)」、カタクチイワシは「acciuga(アッチューガ)」または「alice(アリチェ)」と呼ばれます。acciugaはアンチョビの材料になる魚で、オイル漬けに加工されることが多いです。地域によってacciugaとaliceの使い方が異なり、ローマではaliceと呼ばれることが多いとされています。

サバは「sgombro(スゴンブロ)」です。オメガ3系脂肪酸を多く含む魚として知られ、イタリアでもスーパーで一般的に入手できます。レモンとハーブで和えるマリネ料理が家庭料理として親しまれています。

スズキ・鯛・ヒラメ・シタビラメ

スズキは「spigola(スピゴラ)」または「branzino(ブランツィノ)」と呼ばれ、北イタリアではbranzino、中南部ではspigolが多く使われる傾向があります。レストランのメニューにも頻出する魚のひとつで、丸ごとオーブン焼きや塩釜焼きで提供されることがあります。

鯛は「dentice(デンティチェ)」、黒鯛(チヌ)は「orata(オラタ)」です。日本で「タイ」というと一般的にマダイを指しますが、イタリアのdenticeは厳密には日本のタイ科とは異なる種類です。orataはイタリアで養殖が盛んな魚で、比較的手頃な価格で流通しています。

ヒラメは「rombo(ロンボ)」、シタビラメは「sogliola(ソリオラ)」です。日本ではヒラメを刺身にすることが多いですが、イタリアではどちらも加熱調理(オーブン焼き・ムニエルなど)が主流です。soggiolaのムニエルは「sogliola alla mugnaia」と呼ばれ、バターとレモンを使った古典的なレシピです。

日本語イタリア語読み方
マグロtonnoトンノ
メカジキpesce spadaペッシェ・スパーダ
サーモンsalmoneサルモーネ
干しダラbaccalàバッカラ
生ダラmerluzzoメルルツォ
イワシsardaサルダ
カタクチイワシacciuga / aliceアッチューガ / アリチェ
サバsgombroスゴンブロ
スズキspigola / branzinoスピゴラ / ブランツィノ
denticeデンティチェ
黒鯛orataオラタ
ヒラメromboロンボ
シタビラメsogliolaソリオラ
うなぎanguilla / capitoneアングイッラ / カピトネ
ヒメジtrigliaトリリア
アンコウrana pescatriceラナ・ペスカトリチェ
    >タラはbaccalà(塩漬け乾燥)とmerluzzo(生)の2語を使い分ける>スズキはspigola/branzino、地域によって呼び方が異なる>pesce spadaのspadaは「剣」の意味で、魚の外見から名付けられた複合語>rana pescatriceはranaが「カエル」の意。外見からの命名が多いのがイタリア語の特徴

イカ・タコ・エビのイタリア語名は種類で変わる

イタリア語で注意が必要なのは、イカ・タコ・エビの種類によって単語がまったく変わる点です。日本語の「〇〇イカ」「〇〇エビ」のように1つの上位語から派生するのではなく、種類ごとに独立した名詞が使われます。この仕組みを知らないと、メニューで目的の食材を見落とす原因になります。

イカの3種類:calamaro・seppia・totano

イカを指すイタリア語の代表は「calamaro(カラマーロ)」で、ヤリイカを指します。複数形のcalamariはイタリア料理でよく聞く単語で、揚げたイカリングの料理「calamari fritti」でもおなじみです。

コウイカは「seppia(セッピア)」と言います。セピア色(茶褐色)の語源はこのseppiaで、コウイカの墨の色に由来しています。イカ墨パスタ「pasta al nero di seppie(パスタ・アル・ネロ・ディ・セッピエ)」はseppieが使われる代表的な料理です。

スルメイカは「totano(トタノ)」です。イタリアでは3種類のイカが料理に使われますが、スーパーや市場ではcalamaroが最もよく見かけます。地域によってcalamaroとtotanoが混同されることもあるため、見た目で判断するほうが確実です。

タコ:polpo・moscardino

イタリアの魚介食材のイメージ

タコは「polpo(ポルポ)」です。イタリア料理ではタコを使ったサラダ「insalata di polpo」や、茹でたタコにオリーブオイルとレモンをかけて食べるシンプルな料理が定番です。生のタコを購入する場合は茹でる工程が必要なため、カットして冷凍されたものも多く流通しています。

小型のジャコウダコは「moscardino(モスカルディーノ)」と呼ばれ、複数形はmoscardiniです。ナポリの伝統料理「moscardini alla Luciana(ルチアナ風ジャコウダコ)」は、トマトとニンニクで煮込んだ料理で、ナポリの港町の名前に由来します。事前処理が不要な点から家庭料理にも使いやすい食材です。

エビの4種類:gambero・scampo・astice・aragosta

小〜中型の一般的なエビは「gambero(ガンベロ)」で、小さなエビは「gamberetto(ガンベレット)」と呼ばれます。ズッキーニと合わせたパスタや、リゾットの具材としてもよく使われる食材です。

手長エビ(アカザエビ)は「scampo(スカンピ)」です。複数形のscampiはスカンピのパスタやリゾットとして知られています。オマールエビは「astice(アスティチェ)」、伊勢エビは「aragosta(アラゴスタ)」で、どちらも高級食材として扱われます。aragosta(伊勢エビ)のパスタを見つけたければ「aragosta」という単語で探す必要があり、gamberoからは辿りつけません。

【イカ・エビの種類別単語まとめ】
calamaro(ヤリイカ)/seppia(コウイカ)/totano(スルメイカ)
gambero(小〜中エビ)/scampo(手長エビ)/astice(オマールエビ)/aragosta(伊勢エビ)
polpo(タコ)/moscardino(ジャコウダコ)
    >セピア色の語源はseppia(コウイカ)。墨の色が名前の由来>伊勢エビはgamberoでなくaragostaと別単語になるため注意>イカ墨パスタはnero di seppieが正式名称。calamaro(ヤリイカ)は使わない>moscardiniはモスカルディーニ。ナポリ料理に欠かせない小型のタコ

貝類のイタリア語名と主な料理

貝類はイタリア語でmolluschi(モルスキ:軟体動物)の一種として分類され、日本でもなじみのある種類が揃っています。特にアサリ・ムール貝・牡蠣はイタリア料理の定番食材で、それぞれに対応する料理名がメニューに登場します。

アサリ:vongola

アサリは「vongola(ヴォンゴラ)」です。ボンゴレパスタの「ボンゴレ」はこのvongoleが語源で、日本ではすでに定着した言葉です。白ワインとニンニク・オリーブオイルで蒸す「vongole alla pescatora(漁師風アサリ)」はシンプルながら旨みが強く、パスタの具材としても定番です。

イタリアの市場ではアサリを計り売りで購入することができ、1kg単位で販売されることも多いです。砂抜きを済ませたものと、そうでないものとで処理の手間が変わるため、購入時に確認するとよいでしょう。

ムール貝:cozza

ムール貝は「cozza(コッツァ)」で、複数形はcozzeです。地中海沿岸の国々で広く食べられている貝で、イタリアでは海岸沿いのスーパーや市場で日本よりも手頃な価格で入手できます。イタリアの食品情報サイトの整理では、cozzeはイタリアで最も多く消費されるfrutti di mareのひとつとして挙げられています。

「cozze alla vastese(バスト風ムール貝)」はアブルッツォ州バストの郷土料理で、トマトとニンニク、パセリ、パンを使って煮込む伝統的なレシピです。貝殻の掃除と貝ひもの除去が調理前の基本工程です。

牡蠣・ホタテ・カニ

牡蠣は「ostrica(オストゥリカ)」です。殻つきで販売されることが多く、生で食べる場合は鮮度の確認が大切です。ホタテは「capasanta(カパサンタ)」で、複数形はcapesanteです。大きな扇形の殻とともに販売されることが多く、高価な食材として扱われます。

カニは「granchio(グランキオ)」です。イタリアでは日本のような大型のカニは一般的ではなく、レストランのメニューや魚市場で限定的に見かける食材です。カニとリングイーネパスタ「linguine al granchio」は、トマトとカニの旨みを活かしたシンプルな一皿として知られています。

【貝類の基本単語】
vongola(アサリ)/cozza(ムール貝)/ostrica(牡蠣)
capasanta(ホタテ)/granchio(カニ)
    >ボンゴレパスタの「ボンゴレ」はvongola(アサリ)の複数形vongoleが語源>cozzeはイタリアで消費量が多い貝のひとつ。海岸地域では安価に入手できる>ostriche(牡蠣)はイタリアでは日本より小ぶりのことが多い>capasantaは扇形の殻が特徴。複数形capesanteでメニューに登場する

イタリア語の魚介語彙をメニューで活かすポイント

単語を覚えるだけでなく、メニューの文脈で読めるようになるためのポイントを整理します。イタリア語の魚介名には語源や意味に規則性があり、それを知ると単語の記憶が定着しやすくなります。

語源から覚える:意味が分かると記憶に残りやすい

イタリア語の魚名には、外見・色・生態から名付けられたものが多くあります。pesce spada(メカジキ)のspadaは「剣」、rana pescatrice(アンコウ)のranaは「カエル」、gallinella(ホウボウ)はgallina(ニワトリ)に由来します。語源を意識するだけで、単語が視覚的なイメージと結びついて覚えやすくなります。

seppia(コウイカ)はセピア色の語源として日本語にも取り込まれているため、逆引きで記憶できる単語です。frutti di mare(海の幸)は「海のフルーツ」という詩的な表現で、採取方法が果物の収穫に似ていることから命名されたとされています。

メニューの構造:前置詞+食材名のパターン

イタリア語のメニューでは「料理名+alla〇〇(〇〇風)」「料理名+al forno(オーブン焼き)」のように、調理法が後置されます。例えば「tonno al forno」はマグロのオーブン焼き、「salmone alla griglia」はサーモンのグリルです。

また「di〜(〜の)」という前置詞も頻出です。「pasta al nero di seppie」はコウイカの墨パスタ、「zuppa di pesce」は魚のスープです。前置詞と食材名の組み合わせパターンを把握しておくと、知らない料理名でも食材が推測しやすくなります。

地域差と複数形に注意

同じ魚でも、地域によって呼び名が異なるケースがあります。スズキのspigola/branzino、タラのbaccalà(干しダラ)/merluzzo(生ダラ)のように、地域や状態によって別の単語になることがあるため、見た目や周囲のメニュー文脈で判断する余裕も大切です。

メニューや値札では複数形で表記されることが多いため、単数形と複数形のセットで覚えるとよいでしょう。例えばcalamaroの複数形はcalamari、vongoleはvongolaの複数形です。複数形が単数形と大きく変わらないものがほとんどですが、単複の違いで料理名を誤認しないよう注意が必要です。

ミニQ&A

Q:「ボンゴレパスタ」のボンゴレはどういう意味ですか?
A:vongola(アサリ)の複数形vongoleが語源です。イタリア語ではアサリをvongolaと言い、パスタ名のボンゴレはこの複数形が日本語に定着した表現です。

Q:メニューで「frutti di mare」と書かれていたら何が入っていますか?
A:貝・エビ・イカ・タコなど無脊椎動物の魚介類の総称です。魚(pesce)は含まず、主に貝類・甲殻類・頭足類が使われます。具体的な内容は店やシーズンによって異なります。

    >語源(剣・カエル・ニワトリ等)を意識すると単語の記憶が定着しやすい>メニューは「食材+al forno(オーブン)/alla griglia(グリル)」のパターンが多い>地域差があるため、同じ魚でも異なる単語が使われることがある>メニューの複数形(calamari・vongole等)に慣れておくと読みやすくなる

まとめ

イタリア語の魚介類名は、日本語のような階層的な命名ではなく、種類ごとに独立した単語が使われる体系です。pesce(魚)とfrutti di mare(海の幸)の区別を起点に、よく使われる単語を種類別に整理して覚えると、レストランのメニューや市場での対応が大きく変わります。

最初に押さえたい単語は、tonno(マグロ)・salmone(サーモン)・vongola(アサリ)・gambero(エビ)・calamaro(イカ)・polpo(タコ)の6語です。これらを軸にして、baccalàやseppiaといった個性的な単語を少しずつ加えていくと無理なく語彙が広がります。

イタリア旅行やイタリア料理の食材選びの際に、この記事を辞書代わりにご活用ください。

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